日本では、毎年約3万人もの人が自ら死を選んでいるとされています。これは交通事故による死亡者数を上回っている数字です。

しかし一方で、身近でそれが起こりえない限りは、「自殺者が多い」という実感を持たない人が多いのも現実です。

多くの人が対岸の火事としか感じていない自殺問題について、どれほど深刻か、実際に数字を見ていきましょう。

1. 1日に約100人が自殺している国、日本

世界保健機関(WHO)によると、2012年に世界では80万人以上の人が自殺したという発表がありました。
これは40秒に一回自殺が行われたということです。

自殺に関する報告書 – 世界保健機関(WHO)
http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs398/en/

その報告書によると、2012年の自殺者が1万人を超えた国は11カ国あり、その中には日本も含まれています。
日本は此処数年は減少傾向であるものの、世界で5番目に多い約3万人の自殺者を出しています。

日本国内では、警察庁から自殺者数および自殺率の動向が毎年発表されていますが、2014年の自殺者の総数は25,427人で、前年に比べ1,856人(6.8%)減少しています。
ここ数年の自殺者数は減少傾向であるものの、相変わらずの高水準です。

2015年の自殺者数に関する記事はこちらから

自殺の多い時間や曜日は?2015年の自殺者数について振り返る

1-1. 年間の自殺者総数

過去12年の自殺者の総数は以下のような感じです。

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内閣府 – 自殺統計データ(総人口を対象)より

自殺者は圧倒的に男性が多いようです。女性の2~2.5倍の水準です。

ちなみに、自殺者における自殺未遂歴の有無に関しては、自殺未遂歴が「あり」の女性の割合が男性に比べて毎年2倍以上と高い数字となっているようです。
特に20代から40代の女性の自殺者においては、その中の40%以上が自殺未遂歴ありとなっています。

細かく自殺の現状に関して見てみたい人は以下をご覧ください。
(平成26年版と書いてありますがデータ自体は此処2、3年をまとめたものとなっています。)

平成26年版自殺対策白書
http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/jisatsu/16/

1-2. 年齢ごとの自殺者数

次に2014年の自殺統計を年齢別で見てみましょう。

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内閣府 – 自殺統計データ(総人口を対象)
総務省統計局 – 人口推計(平成26年10月1日現在)より

0歳から19歳までの数字を除いては、
各世代、「1万人に2人もしくは3人が一年間に自殺をしている」ということになります。

毎年このペースというのはやはり多く感じます。

2. 若者の死因の約半分は自殺という現実

世代ごとに見た場合の自殺率はさほど変わりませんが、近年、特に問題視されているのは、若年層の自殺です。

それでは、年齢別にみた死因順位を見ていきます。

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厚生労働省 – 人口動態統計(2013年) 性・年齢別にみた死因順位 より

死因順位を見てみると一目瞭然で、若年層の死因は “自殺” が上位を独占しています。
15歳から39歳までの死因のトップが自殺となっている事以上に注目すべきなのは、死因に占める自殺の割合が若年層で非常に高くなっているという事です。

もちろん、日本は治安が良く衛生面も世界トップクラスの国であるため、死因として事故や病気で死亡する割合が低いということもありますが、

「死因に占める自殺の割合が20代で50%」 というのは世界中を見てもかなり特異であるといえます。

「日本は物質的に豊かである反面、精神的に貧しい国だ」といわれるのも納得のできる数字です。

3. 本当の自殺者数は10万人以上!?

さて、ここまでは警察庁から発表されている自殺者数を見てきましたが、これらの数字についてどう感じましたでしょうか。
世界で5番目に多いと聞くとやはり多く感じる方も多いことと思います。

ですが、じつは毎年発表されるこの数字に関しては、「公表すべき自殺者数は10万人超なのでは?」等というような、疑問視をする声も多く見られます。
なぜなら、ざっくりまとめると以下のような理由があるからです。

  • 日本で自殺の定義は「死後24時間以内に発見され、 遺書があること」とされているため、遺書がない等の場合は自殺者にカウントされていない可能性がある

  • WHOでは「変死の半分は自殺」と推計しているが、日本の場合は、変死の中に自殺が含まれていない前提で自殺者数を出している可能性がある

隠された真実:3万人どころじゃない!本当の自殺者数は18万人!?
http://matome.naver.jp/odai/2135018587581844401

先進国で最悪の数!自殺大国日本が統計で明らかに!
http://kamonohashi.xsrv.jp/497.html

自殺・異状死に関するメモ
http://d.hatena.ne.jp/ueyamakzk/20090725
http://d.hatena.ne.jp/ueyamakzk/20090729

「変死体」と自殺の関係について
http://d.hatena.ne.jp/NORMAN/20090812/1250045627

日本は死因究明における後進国だ
http://synodos.jp/newbook/12924

実際のところ、そこまで大げさな上ブレは考えにくいですが、調べてみた限りでは、発表されている自殺統計にはやはり不透明な部分が多く、加えて死因究明制度が未熟であるため、こういった疑問の声が多くあるのは自然かもしれません。

発表されている数字に関して、真偽のほどは定かではありませんが、それ程に自殺大国のイメージがつき問題視されていることはッ間違いないようです。

4. おわりに

国は今年度も約360億円を自殺対策に充てているようです。

予算がどこに使われているか、身近なところではポスターぐらいしか目にしませんが、ひとくくりに自殺問題といっても経済社会的問題や生活問題、学校や職場の問題など、様々な要因があるため、国だけでなく一人一人が考えることのできる問題かもしれません。

厚生労働省 – 自殺対策について
http://www.mhlw.go.jp/kokoro/nation/about.html

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