葬儀や法事の際に必要になる、数珠や香典袋、袱紗(ふくさ)といった持ち物。そんなに頻繁に使うものではないので、準備をしていなくて慌てるケースは多くあります。
今回は、まだ葬儀や法事に出たことがない人でも分かるよう、難しい話は抜きにして、数珠・香典袋・袱紗(ふくさ)の選びかたやおすすめを簡単にまとめました。若い世代の人だけでなく、年齢を重ねるにつれて、「もう少しちゃんとしたものを持っておこう」「知識だけでもある程度持っておきたい」といった人もぜひ参考にしてください。いざというときに困らないよう、念のための準備をしておきましょう。
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1. 数珠(じゅず)
お焼香の時に必要になる数珠。数珠は本来、念仏の回数を数えるために使っていた仏具で、仏教の宗派によっても数珠の形に違いがあります。
仏教の形式にのっとった葬式に参列する場合には、自身の信仰している宗派の数珠を用意するか、もしくは、すべての宗派で使える略式の数珠を用意しておけば良いでしょう。仏教徒以外は持たなくても問題ないですが、無宗教でも喪服・礼服などと併せて通夜や葬儀に参列する際に必要な持ち物として揃えておくと安心です。
ビジネスシーンだけでなく葬儀の時でも持ち物は意外に周りに見られているので、大人の身だしなみとして隙をつくりたくない場合にはちゃんとしたものを1つ用意しておくと良いと思います。
一般的な数珠の材質
菩提樹・黒檀・白檀・紫檀
●石の場合
白オニキス・黒オニキス・水晶・珊瑚・白珊瑚・瑪瑙・白瑪瑙・赤瑪瑙・真珠など
やってはダメなこと
持ち主の身を守る意味合いもあるものなので人から借りるようなことはやめましょう。
●数珠をブレスレットで代用はNG。
パワーストーンのブレスレットは仏具じゃありません。
口コミ評価の高い略式数珠 – 男性用
◆黒オニキス×本水晶
光沢感のある天然石の黒オニキスに龍彫り本水晶をあしらった男性用数珠。房は京都の伝統工芸「京房ひも」の職人が製作したものを使用しているそう。高級感のある黒色はフォーマルな雰囲気だけでなく格好良さもあるので幅広い世代におすすめ。一生使えるような男性用の数珠です。
◆縞黒檀 (艶消)
綺麗な木目が特徴的な縞黒檀の男性用数珠です。安価ながら京都の数珠職人が仕立てたしっかりとしたつくりなので急な時のために1つ持っておくと良いかもしれません。木製の数珠のほうが石の数珠よりも軽いのが特徴です。
◆木×石の選べるデザイン
木をベースに石のアクセントがついた数珠。安価だがしっかりした作りが人気なようです。「こだわりはないけれど100均の数珠ではちょっと・・・」という人や子供用に購入されている人が多い数珠です。
口コミ評価の高い略式数珠 – 女性用
◆本水晶×紫雲石
本水晶と紫雲石の組み合わせの透明で美しい女性用の数珠。数珠と房は京都の職人によって仕立てられています。しっかりしたつくりと品の良い色から人気があるようです。
◆黒貝パール7mm
上品な色と質感の黒貝パールの女性用の数珠。7mm玉で手が小さい人にも馴染むサイズです。値段以上に質が高いと口コミ評価の高い数珠です。
◆淡水パール8mm
貝パールのものよりもう少し高級感が欲しいという人には淡水パールの数珠もあります。
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◆選べる天然素材とデザイン
豊富な可愛らしいデザインと手頃な価格から大人だけでなく子供用としても多く選ばれている数珠。プラスチックのものと比べると重量や高級感もあるので急な入り用でも多少ちゃんとしたものを持ちたい人におすすめです。
2. 不祝儀袋・香典袋
葬儀の中で、通夜や告別式で持参する香典。香典は、死者の霊前に供える現金です。
不祝儀袋・香典袋は色々と市販されていますが、袋にはいくつか種類があり装飾にも決まりがあります。
宗教に合わせた香典袋の選びかた
◆相手の宗教が分からない時
●表書きは、御霊前 であればどんな宗教でも、通夜でも葬儀でも使えます。御香料 でもOKです。
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◆仏式の場合
●仏式の表書きは、御霊前・御香奠(御香典)・御香料 など。
●仏式の場合、蓮の花が描かれたものは仏式のものなので使うことができます。
◆キリスト教の場合
●一般的な不祝儀袋(絵がないもの)や白無地のものでも問題ありません。水引きの有無はどちらでもOKですが、かける場合は双銀の結び切りが良いでしょう。
●キリスト教式の表書きは、御花料 が一般的です。
◆神式の場合
●神式の表書きは、御霊前・玉串料・御榊料
●絵などが描かれていない白無地の袋にすると良いでしょう。
Q.香典の書きかたは薄墨を使うべき?
基本的には、宗教に関わらず表書きは薄墨で書くのが正式とされているので一応覚えておきましょう。
本来、「悲しみで墨をすることができない」「涙で薄くなってしまった」といった意味合いがあるようですが、市販の封筒では濃い文字で印刷されているものも多く、普通の筆ペンで書いても問題はありません。ただ、手元に薄墨の筆ペンなどがあるようであれば書き直したり、名前だけは薄墨で書くのが良いかと思います(市販の封筒で御霊前などの文字が濃い文字で印刷されているからといって、名前を濃い文字に合わせる必要は特にありません)。
3. 袱紗(ふくさ)
袱紗(ふくさ)とは、絹やちりめんなどでできた四角い布のことを言います。 冠婚葬祭で使用するものですが、葬儀では香典を包むのに使用されることが一般的です。
袱紗はどんなものを選んでも良いというわけでなく、葬儀・法事などの不祝儀用の袱紗と結婚式などの祝儀用の袱紗では使える色などが異なるので注意しましょう。
袱紗の色の違い
紫、紺、緑、うぐいす、グレーなどの寒色系
●祝儀用
紫、赤、朱などの暖色系
祝儀と不祝儀の兼用で使いたい場合には、男性も女性も紫の無地のものを選んでおけば安心です。
※男性なら紺色、女性ならエンジ色も兼用という話もありますが、こまかい人もいると思うので紫が無難だと思います。
紫色でも絵が入っていて上下がはっきりしている袱紗は、兼用としては使えません。理由は次に紹介する袱紗の包みかたが祝儀と不祝儀で異なるため、上下がはっきりしている絵柄はどちらかの使用時に逆になってしまうからです。
葬儀(不祝儀)での袱紗の包みかた
袱紗の包みかたも、色と同様、祝儀と不祝儀で異なります。
こちらの動画が分かりやすいので参考にしてみてください。
※祝儀の場合は、不祝儀とは反対に爪を右側にして左、上、下の順でたたみます。
祝儀不祝儀・男女兼用で使えるおすすめの袱紗
袱紗には、上の包みかたで紹介したような “挟むタイプ” のものと、“包むタイプ” のものがあります。また、数珠と同じように袱紗にも正式と略式があります。最近は、使いやすい財布型の金封袱紗が人気で一般的になってきましたが、正式な形のものが良い場合には一枚布の袱紗を選ぶと良いです。
◆挟むタイプ – 金封袱紗
最近はこういった金封をそのまま挟める財布のようなタイプの袱紗が人気です。たたみ方を覚えていなくても上下の向きだけに注意すれば使えるので、誰でも簡単に使えるのが特長です。
葬儀・法事などの不祝儀の時には、左開きで使いましょう。
◆包むタイプ – 正式の一枚布の袱紗
正式の袱紗は絹や縮緬などの素材でできた正方形の一枚布のものです。手袱紗や小風呂敷といった呼びかたをすることもあります。呼び方の通り風呂敷のような布なので綺麗につつむのは少し慣れが必要かもしれませんが、扱いに慣れれば美しい振る舞いになることと思います。
◆包むタイプ – 台付き袱紗
金封をのせる台がついた袱紗は、金封がずれてしまったり、型崩れしにくいのが特長です。綺麗に形を整えられるのは良いですが、やはりこちらも包むタイプなので挟むタイプと比べるとたたみ方や取り出す際の取り回しには少し注意が必要です。
商品によっては、祝儀不祝儀によって台の色を裏表で変えることができるようなものや、包んだあと開いてしまわないよう爪がついているものもあります。
4. とりあえず準備はしておこう
今回は、葬儀や法事の際に必要になる、数珠・香典袋・袱紗(ふくさ)の選びかたやおすすめを簡単にまとめました。難しい宗教的な話や細かすぎる作法にはあまり触れていないので、一般的なマナーとして知識として押さえておくと良いかと思います。
葬儀は急にあるものなので、いざと言う時に慌てたり恥ずかしい思いをしないよう、予め準備をしておくことをおすすめします。
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