親や親族が死んだ時、今まで何も知識が無かったことに気づくのが「相続」の話です。

多くの人がよく分からないまま専門家に任せてしまいがちな問題ですが、やはり「知らない」ことで損をする場合もたくさんあります。
簡単にできることでも全く知識がないせいで無駄にお金を払ってしまったり、知らなかったせいで親族同士でもめてしまったり、そんなことにならないよう、基本的な相続の方法や用語はしっかり知っておきたいところ。

また、自分自身が死んだ時にも、のこされた人に丸投げになってしまわないように、簡単な話くらいはできるようにしておきたいですよね。

今回は、「相続ってそもそもなんだろう」といったかんたんな内容を用語説明とともに見ていきたいと思います。気をつけるべきポイントやよくある疑問を解消していきます。

1. 相続ってなんだろう

相続とは、死亡した人の財産を残された人が受け継ぐことです。

そして、死亡した人のことを被相続人、受け継ぐ人のことを相続人と呼びます。

さて、ここで
「財産を受け継ぐ」と聞いて、「お金的なものがもらえるんだ!嬉しい!」と思った人に悲しいお知らせがあります。

じつは財産は「資産」と「負債」の大きく2つの種類に分けられます。

  • 資産(現金や土地、建物など)
  • 負債(借入金、税金未納分、医療費未払分など)
  • つまり、プラスだけでなくマイナス分も立派な財産なんです。

    自分が相続人になる場合にはもちろんのこと、自分が万が一死んでしまった時の残された人のことを考える際にも、しっかりと覚えておきましょう。

    2. ○○相続人ってなんだろう

    上で、財産を受け継ぐ人=相続人というお話をしましたが、相続の話の中でわりとよく耳にする「なんちゃら相続人」という言葉があると思うのでそちらも補足しておきます。

    法定相続人とは

    「相続人の範囲は、被相続人と一定の血族に限る」と民法で定められています。そのため相続人というのは法定相続人と呼ばれることもあります。

    推定相続人とは

    相続人というのは、被相続人の死亡による相続開始によって確定するものなので、相続開始前には、推定相続人と呼ばれます。

    3. 相続ってどうやってするの?相続の承認と放棄

    用語についてある程度の理解ができたその次は、相続の方法について見ていきたいと思います。

    「相続したとか人が話しているのを聞くけれど、相続って手続きが必要なの?」

    「サスペンスで見るような血で血を洗う遺産相続争いなんてしたくないんだけど」

    「いやだああぁぁぁ負債なんて相続したくないいぃぃ」

    といった場合に、どんな手続きがあるのか、絶対に相続はしなければならないのかなどをざっと知っておきましょう。

    Q. 相続って絶対に強制的にしなきゃいけないの?

    まず、大前提として相続人は被相続人の財産を相続するかどうかを選択することができます。

    Q.じゃあ、お金に困ったら相続しようかなー。相続するかどうかの選択は気が向いたときにすればいいの?

    そんな自由なことはやっぱり許されないようです。
    相続開始があったことを知った日(被相続人の死亡を知った日)から三か月までに相続の方法を決めなければいけません。

    Q. 相続は資産も負債もプラスもマイナスも全部しなきゃいけないの?

    問答無用で全部相続人へ降りかかってくるというのは、ちょっと納得がいかないこともありますよね。そんなわけで、相続方法には3通りがあるんです。

    (1)単純承認

    被相続人の財産(プラスマイナスの両方)をすべて受け継ぐ方法

    (2)限定承認

    被相続人の資産(プラスの財産)の範囲内で、負債(マイナスの財産)を受け継ぐ方法

    (3)相続放棄

    被相続人の財産(プラスマイナスの両方)をすべて受け継がない方法

    単純承認は、特に必要な手続きがなく、期間内に何もしなければ単純承認をしたこととみなされます。「何もしなかったせいで財産が国に没収された!」なんてことは無いので安心してください。

    一方で、限定承認と相続放棄は、家庭裁判所で手続きが必要になります。限定承認の場合には相続人全員で申し出る必要があり、相続放棄の場合には放棄する本人が申し出ればOKです。

    注意:限定承認や相続放棄ができなくなるパターン

    そしてここで1つ注意する点が。相続する財産が相続人に引き渡されるまでに、意図的に使用したり隠してしまったりなど、適切な管理をしなかった場合には、限定承認や相続放棄ができなくなってしまうことがあります。

    少しならイケるだろう、バレなきゃ良いだろう、やっちゃえISAN、といったことしてしまうと取り返しのつかない事にもなりかねないので気をつけましょう。

    まとめと次回告知

    今回は、相続はどうやって行なわれるのかといった内容をかんたんに見ていきましたが、次は、相続人になれる人とはどんな人なのか、その範囲について見て行きたいと思います。

    相続の前に知っておきたい、家族が亡くなった場合の各種手続きの記事はこちら
    家族や親が死んだら – 病院から葬儀前までの流れと注意すべき点

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