直葬とは、宗教的な儀式無しで、火葬だけをする葬儀の形のことを言います。
最近では、家族や友人だけでしめやかに送り出してもらうことを希望するケースも増えてきているため、直葬という言葉もよく聞くようになってきました。鎌倉新書の2014年時点の調査では、葬儀の約16%が直葬という結果も出ているほど直葬を選ぶ人が増えてきています。
「自分の時は、あまり家族にも迷惑をかけたくないので直葬にして欲しい」と考えている人や、「親が直葬を望んでいるけれど、どこにお願いすれば良いか分からない」といった人に向けて、今回は、病院の搬送から直葬までの流れに関する様々な疑問を見ていきたいと思います。
⇒ 別記事:病院から葬儀前までの流れと注意すべき点
mokuji
1. 直葬について
直葬とは
「直葬」とは、上でも触れましたが、お通夜や告別式といった儀式がない、火葬式のことを言います。一般的にイメージするお葬式のような儀式がないため、費用を抑えることができます。そして、参列者の対応や近所への挨拶、香典返しなど、面倒な手配も必要がありません。
火葬までの最後のお別れの時間を身内だけでゆっくり過ごすことができるのは大きなメリットと言えるでしょう。
直葬は本当に増えているの?
直葬について、公正取引委員会の「葬儀の取引に関する実態調査報告書」から実際のデータを軽く紹介しておきたいと思います。
696社の葬儀業者に対して行なわれた調査では、現在も一般的な葬儀が年間取扱件数全体の63.0%を占めているものの、「一般葬・家族葬・直葬・一日葬・社葬の中で増加傾向にある葬儀の種類は?」という問いで、51.1%が家族葬、26.2%が直葬と回答しています。一方で「減少傾向にある葬儀の種類は?」という問いに対して、68.8%が一般葬をあげています。
一般葬が減少傾向にあるのに対して、よりシンプルな形である、家族葬や直葬がそれに代わってきているということが調査結果から分かります。葬儀費用や接待の手間を抑えたいというニーズが増えてきたといえます。
2. 直葬に関するギモンを解消しよう
Q.直葬は葬儀社にお願いしなくても良いの?
「通夜や告別式がないなら、葬儀社にお願いしなくてもよくない!?」といった疑問が浮かんだ人もいるかもしれませんが、自分で行なう直葬は葬儀費用を抑えられるメリットがある一方で、葬儀品や火葬までに必要になることの手配が大変になります。
まず、直葬といっても、死んだらすぐに火葬場へというわけにはいきません。
火葬は、死後24時間が経過しないと行うことができないと法律で定められています。そのため、「遺体の安置」をする必要があります。病院で亡くなった場合には、病院から安置場所まで遺体の搬送も併せて行う必要があります。24時間安置が必要なので、夏場にはドライアイス等で遺体が腐敗しないようにしたりといったケアが必要になることもあります。
また、それに加えて火葬前後に必要になる棺や骨箱などの準備や、火葬許可証の手続きも進めておかなければいけません。
大まかな流れを事前に確認してあったとしても、急なことで慌てている中で、身内だけでこれら全て進めるというのは大変なことです。故人とのお別れの時間をゆっくりしっかりとりたい場合には、直葬でも葬儀社にお願いしてしまうのが良いかと思います。
直葬プランのある葬儀社や直葬専門の葬儀社も今は多くあります。直葬といっても安置場所や搬送など細かく決めておく必要があるので、見積もりを取った上で希望に合った葬儀社を選ぶことが大切です。
Q.病院から安置場所への搬送は自家用車でも大丈夫?
葬儀社にお願いする場合には、遺体搬送のための車(寝台車)で搬送を行いますが、直葬の場合、遺族が自家用車で遺体を搬送しても特に問題はありません。ただしその場合は、死亡診断書(死体検案書)を携帯しておきましょう。
タクシーなどをつかまえて搬送することはできません。
Q.棺なしで火葬はしてもらえるの?
火葬場によりますが、棺無しでの火葬は受け付けてもらえないことが多いです。
適当な箱に入れていったとしても、火葬時にダイオキシンや有害物質が出ないものか分からないといった理由などで、同様に受け付けてもらえないことはあります。
Q.棺はどこに売ってるの?
一部の市区町村や葬儀社では棺だけを購入することができます。その他、現在ではインターネットでも簡単に棺を買うことができてしまいます。
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(2018.08追記)棺の買いかたについての記事を追加しました。
Q.一番シンプルな直葬方法は?
病院から安置場所へ搬送し、24時間後に安置場所から火葬場へ搬送するといった2回搬送を行う形が一般的ですが、病院等から火葬場にある安置場所へ直接搬送してくれるような葬儀社もあります。この場合は搬送を1回で済ますことができ、別の安置場所も必要がありません。
Q.直葬で必ず必要になること(モノ)
●安置場所から火葬場への搬送
●安置施設の利用料(自宅に安置しない場合)
●ドライアイス
●棺、骨箱、お別れ用の花など
●役所での死亡届・火葬許可証の手続き
●火葬場の手続き
●火葬費用
死亡届や火葬許可証に関する手続きはこちらの記事から
+α 直葬でお坊さんを呼びたい時
最近ではインターネット・電話ですぐにお坊さんを手配できる 「お坊さん便」 というものもあります。費用は全国一律で追加費用がなく全宗派対応ということで、形だけでもという人には今やこういった選択肢も用意されています。
お坊さん便では、法事や法要だけでなく、直葬(火葬式)や家族葬の読経にも対応しています。
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3. 気をつけておきたい直葬の落とし穴2つ
直葬費用の落とし穴
とにかく費用を抑えたいと考えて、直葬を希望する場合も多いかもしれませんが、格安の直葬プランをうたっている葬儀社の中には、追加料金が発生する場合も多くあるので注意が必要です。必要なサービスが含まれているか、含まれていない場合には追加でいくらかかるのか等、しっかり見積もりを取るようにしましょう。
菩提寺の落とし穴
直葬は、上でも説明したように宗教的な儀式無しでの葬儀の形です。先祖代々のお墓があるお寺に納骨をする場合には、事前に直葬を行う旨を相談しておくようにしましょう。
宗教的な儀式を重んじるお寺の中には、「別のお寺で葬儀をしてもらったり、宗教的な儀式を行わない直葬をするというのは、すじが通らない」ということで良く思われないケースもあるようです。トラブルになり納骨拒否されることもありうるので注意が必要です。
4. おわりに
直葬の大まかな流れや疑問について触れてきましたが、イメージはできたでしょうか。
近年、様々な理由で直葬を希望する人が増えてきています。しかし、やはり一般的な葬儀の形とは違うこともあり、一方的に進めてしまうと、思わぬトラブルになることも考えられます。
直葬を行う際には、葬儀社と細かい希望などを打ち合わせしたり、親族やお寺などに理由などを説明してあらかじめ理解を得ておくことが大切です。シンプルな直葬といえども気持ちよく見送れるような準備は前もってしっかりしておきましょう。
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